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木星-冥王星について② [ネイタルアスペクト]

16年も前の勉強会のメモが出てきました。

「木星-冥王星は<喝采症候群>に関係する」

(喝采症候群──人の賞賛ばかりを求めて生きる。
        万能感に満ち、少しの批判にも耐えられない。)

木星-冥王星は社会的成功、権力やステイタスへの衝動をもたらしますが
根本には<喝采症候群>が隠れている場合があるのかもしれません。

喝采症候群とまで行かなくとも、誉められたい、賞賛されたいという
願望は多かれ少なかれ誰にでもあると思います。

賞賛されること、承認されることは人をとても良い気分にしてくれます。
でも、人から認められること、誉められることばかりを求めると
反対や批判、非難、拒絶、孤立にとても弱くなってしまいます。

自分のしたいことよりも周囲の求めていることを優先しなくては
ならなくなります。
多くの人の支持を得るためにウケ狙いや迎合をするはめになることも。
おだてに弱くなり、持ち上げられると引っ込みがつかなくなるかもしれません。
自分のパワーを常に周囲に証明し続けなければならない
といった気負いも出てくるでしょう。

また、いつでも認められたい、賞賛されたいといった気持ちが強すぎると
賛成、反対といった意見に振り回されやすくなります。
他人にコントロールされやすい状況であるということです。

木星-冥王星は集団からの承認という意味を持ちますが
自己価値を測る物差しが常に他人からの承認、賞賛であるとしたら
こんなに苦しいことはないでしょう。

自分にとって重要な存在(主に両親)との関わりによって
こういった傾向を持ってしまうことは多いものです。
しかしこのような弱さを克服するためには
他人からの賞賛に頼らず、自分で自分を賞賛する、
自分を尊ぶ心を育てる必要があります。

アスペクトにはさまざまな次元があります。
もし、木星-冥王星のパワーを自分自身の資質として
大きく使いこなすことができる人なら
世の中のために大志を抱き、
信奉者や資金を広く集めること、組織をつくることなどは
訳はなさそうです。
歴史的な人物では坂本竜馬が
活動宮での太陽-木星-冥王星のT字スクエアを持ちます。

sa-sni.gif

内円は坂本竜馬、外円が作家・司馬遼太郎です。
木星-冥王星が強調されている相性です。
司馬遼太郎を国民的作家に押し上げたのは
坂本竜馬を題材にした「竜馬がゆく」という作品でした。

坂本竜馬がこれほどまでに愛され尊敬される
国民的ヒーローになり得たのは
司馬遼太郎の力が大きいでしょう。

木星-冥王星の影響力の大きさを感じます。
といっても私は「竜馬がゆく」を読んだことがありません。
この秋、トライしてみたいと思います。


理想主義について [ネイタルアスペクト]

心の防衛メカニズムとしての理想主義について。

心理占星術では個人的な領域を司る太陽、水星、金星で理想主義が形成されると考えます。

①太陽、水星、金星の二つ以上の組み合わせで、合が形成されること。
②太陽、水星、金星の間でミューチュアルレセプションがあること
③太陽、水星、金星がミッドポイントで関わること

このうちのどれか一つでも当てはまれば理想主義的な傾向が強まります。
従来の占星術でも太陽と関わると
その天体の持つテーマにおいて主観的になりやすい、という解釈があります。
そもそも水星は太陽から28度以上、金星は48度以上、離れることはなく
太陽、水星、金星の組み合わせの合を持つ人は多いです。

理想主義は、誰もが社会と対峙するときに
大なり小なり持つであろう心の防衛機能です。

私たちは未経験のことにチャレンジするとき、
自分なりの理想の展開を思い描きますが
しょせんは自分のアタマの中のイメージの範囲内でしかないわけです。
当然、現実とのズレ、ギャップを感じることもあるでしょう。

しかし何の予備知識もビジョンもなく
いきなり外の世界と関わってしまうと
大きな痛みやダメージを被る場合もあります。
そのとき内面に夢やイマジネーションがあれば、
現実という壁にぶつかったときに傷つき過ぎないですみます。
人は誰でも無意識のうちに自分を守るための
理想パターンを形成し、外の世界からの影響に対処しているものです。

現実からかけ離れない程度の理想はむしろ必要なものでしょう。
しかし気づかないうちに理想のパターンにこだわってしまい、
なかなかはずせなくなるといった苦しみとも表裏一体です。
自分の狭い視野の中に閉じ込められてしまうのです。

たとえば
「33歳までに理想のパートナーを見つけて結婚し
36歳までに絶対に子どもを産む」など。
この数字に何の根拠もないのにも関わらず、
無意識にセットしてしまっています。
叶えられなければ、焦ったり不安になってしまうでしょう。

また木星と海王星も理想主義的な要素を助長しますが
これは、正岡子規のいう<理想>のイメージと近いように感じます。

子規は理想のことを

「一見現実の束縛を受けず、自由奔放に見えて、実は規制のイメージや
パターンに強く拘束されている。
勝手気ままのように思いながらルーティンの奴隷であり、
出来合いのイメージの規制や凡庸さから抜け出せない」と否定します。

そして「写生」こそは多様多彩だといいます。

「写生」は現状の把握や、現場をしっかり観察すること、
あるいは心と現実の間に横たわる
思い込みや幻想をはぎとり、しっかり物事に触れることなのでしょう。

私自身は太陽、水星、金星の組み合わせを持たないので
理想主義の傾向は強くはないのだと思います。
しかしながら、自分を振り返ってみると
自己防衛のパターンを持っていることに気づきました。

太陽と土星の合を持つ私のパターンは<自分には出来ない>です。
「あんたには出来ない」
「どうせダメに決まっている」は親の口ぐせでした。

世の中、そんなに甘くない。
失敗させたくない、無駄足を踏ませたくないという
親心だったのかもしれません。
実際のところ何もしなければ、失敗という苦い思いを味あわなくてすむので
自己防衛になります。

でもこの1~2年は、
「きっと上手くいかないだろうな。しかしダメもとでトライしよう」と一部分
発想の転換をするようになりました。

実際にやってみると、やってみただけのことはあり、
思いがけないレスポンスがあります。
些細なことですが新鮮な発見があり、大きな変化になりました。

自分自身の理想主義のパターンがどのようなものか
意識できると良いと思います。
他の人のパターンもホロスコープ全体を観ながら
一緒に発見できると良いですね。
意識できれば、少し変えてみよう、脱皮してみようと
固定観念をはずす契機になります。













インターセックスの方のチャートについて [ネイタルアスペクト]

インターセックスの方のホロスコープを
リーディングさせて頂くご縁に恵まれました。

この方のチャートから浮かび上がってきたのは
キロンの痛みと、水瓶座の孤独についてです。

キロンには心の傷と癒し、医療、精神世界、倫理観というテーマが
与えられています。

キロンは占星術を司る星でもあります。
占星家にとって、もっとも必要な資質は
<その人の痛みを当人以上に鋭く感じ取られること>であると、
私自身は考えます。
そして、その能力はキロンが司どるものです。

今回、サンプルになってくださる方はSさん。64歳の方です。

Sさんは在日韓国人二世として、
同時にインターセックスとして生を受けました。

インターセックスのことは、私もSさんにお会いするまで
詳しくは知らなかったのですが、
性が未分化な状態で生まれてくるケースがあるのです。
生まれてすぐ整形手術が行われることもあります。

Sさんは男の子として育てられました。
幼い頃は、事実を受け入れないように生活されてきたとか。
しかし12、3歳のころから自分は他の人と違うと
意識せざるを得ないようになってきました。
周りの男の子が大人っぽく変化していくのに、
自分にはそれが全然ない。
ヒゲは、マッチ棒の燃えカスで描いていました。

周りが女の子と付き合うので真似事で自分も付き合ってみたけれど
全然何もしないので不思議がられたそうです。
初恋の相手は男の子でした。

身体検査、病院、トイレ、温泉、ファッション、グループ旅行、恋愛etc...
数え上げればキリがないくらいの不都合な人生。

人にとって当たり前のことが自分には当てはまらない。
ましてや性のことのなので隠さざるを得ない。
長年の間、精神的な拷問を受け続けたようなものです。

「一体自分は何者なのだろうか、いつも自問自答の心境にあります。
こんな私をサンプルとしてブログに取り上げていただけると嬉しいのですが。
同じ苦しみを持つ人の処方箋になればと思います」。
Sさんからこのようなお申し出を受けました。

「一体自分は何者なのだろうか」

誰もが一度は考えることでしょう。
ただこのナイーブな言葉を口にする方の年齢が64歳であり
さまざまな人生経験を積んでもなお
その思いが消えないということに
切実さ、哀しさを感じざるを得ませんでした。


ホロスコープからSさんが何者であるか、
どうしてこのような人生だったのかを紐解くこと、、
同じ苦しみを持つ人への処方箋が書けるのかわかりません。
ただ何かヒントが見つかればと思います。

Sさんの出生図
sa3.gif
AP=木星/冥王星=天王星
土星/海王星=冥王星
太陽/月=海王星
海王星/冥王星=水星/冥王星=土星
太陽/冥王星=木星
土星/天王星=太陽

厳しい現実感覚と社会的な成功。
同時にスピリチュアルな方向性も併せ持つといった
相反する二つの側面があります。
冥王星は先祖を司ります。
太陽/冥王星=木星は家系など集団のリーダーとして
先祖によって選ばれた存在であることも示しています。

キロンは金星とセプタイル、火星とキンタイル。
HN5で火星キロン0度、HN7で金星キロンが0度。

男性としても半端、女性としても半端といった
欠陥感を与える配置ですが、
同時に高い精神性も培われます。

「異性を求めるという気持ちが湧かない。
内面で男性としての自分、
女性としての自分が
入り乱れて存在している」感覚があるということです。

異性を求めること、また異性として求められることは
根源的な強い欲求で、芸術表現としても巷にあふれ返っています。
それなのに、自分には当てはまらない。
やはり壮絶に孤独で、
自分の存在価値を根底から揺さぶることだったでしょう。

水瓶座生まれ。
しばらくこのチャートを探索しているうちに
水瓶座10度付近に天体を持つ7人の方と話す機会に恵まれ、
理解を深めることが出来ました。
占星術に関して、こういった引き寄せは不思議と良く起きます。

ホロスコープの頂点に位置する山羊座は
組織の中で采配をふるうこと、
その「場」で自分の役割を担い、
立場を確立させていくことを目指します。

山羊座の次のサインである水瓶座は、山羊座的な世界観から降りており
ラベルを貼られることを嫌がります。

「自分はフラットである」
「自分の役割を決め付けてはいけない」
「自分の世界を自分で縛ってはいけない」
「あえて物事に意味を与えないこともOKである」

常にニュートラルでいることを求めます。

しかし、この感覚が行き過ぎると

「自分は何者でもない」
「自分はどこにもいない」
「自分はからっぽである」
「集団幻想の中で自分だけが覚醒している感覚」

社会の中ではときに安定感を失うことも。

インターセックスという
存在そのものが認知されていない性を持ち、
身の置き所がなく生きなければならなかったのは
水瓶座の3つの天体が冥王星とハードに関わったせいかもしれません。

ただ普通に存在すること=蟻地獄で立っていようとすること。

不毛で膨大なエネルギーを費やします。
そしてその苦しみを誰も見ていないし、気づかないし、知ろうともしないのです。

同時にこれはキロンのテーマと共振します。
たとえば結婚したら子どもを生むのが当たり前という価値観の中では
子を持たない自分は浮いているように感じられるでしょう。
根源的な欠落感に苛まれます。

8歳のとき
MS-1958.gif
SA月はn天王星と0度、SA火星はn海王星と0度。
SA太陽、SA MCはn冥王星と180度。tキロンと合
n月にはt土星が180度、nキロンと合、nMC、n金星、n木星にt天王星が180度。
n ASCにt冥王星が90度。

何らかの過度なストレスが引き金になったのか
ある日、山道で蛇が話しかけてきたといいます。
それからしばらくの間、
夜中、眠っているときに外をうろつくようになりました。
朝、起きてみると足の裏が汚れているけれど
何の記憶もなかったそうです。

n月-nキロンは180度。
おそらくホメオスタシスを司る天体は月なのでは、と推察します。
キロンが関わることで傷つき
人だけではなく、物、動物、虫、植物、鉱物などとも
同調が起きやすいのでは、と考えています。

同情ではなく、同調。

自分とかけ離れた存在の中にも自分の姿を観たり、
自分の一部のように感じる力です。

月-キロンとT字を組む土星が水星とミューチュアルレセプションであり、
水星-海王星とスクエア。
つらい現実を嘘や空想で乗り越えたはずで、
そのことが霊的な感受性を目覚めさせたのでしょうか。

水星-海王星のスクエアはイマジネーション豊かな人を作り
小説家、漫画家、詩人、コピーライターにも多い配置ですが
同時に学童期のいじめに関連しやすいです。

在日韓国人二世なので苛烈ないじめや差別があったそうです。
貧困家庭で育ったことも関係したかもしれません。

その後、Sさんは事業家として成功されましたが
2000年、自意識がなくなるほどの霊的なメッセージを受け取り
社会的な人生を全て犠牲にして、ご自身のルーツを辿り始めました。
MS-2000sr.gif
AP=SA太陽
海王星/冥王星=t海王星t木星tノード
太陽/月=t木星t土星tノード=SA火星
木星/冥王星=火星/土星=SA月
ASC/MC=SA天王星t木星t土星tノード
冥王星/MC=SA太陽。
ASC-DESにSAノード、SA火星。
SAキロンがMCへ到達。
T天王星がMCに0度。
12ハウスを運行するt土星が
出生図の水瓶座天体群に対して90度を形成。

2000年の頃、不動宮に天体を持つ人は大きな転換期に当たっていました。
特に水瓶座は天王星、海王星が在泊したので大変な時期でした。

Sさんの亡父は終戦前に日本の大学に医学を勉強しに来ていましたが、
在学中に終戦を迎ました。それまでの日本人としての権利が
全て無くなり、奨学金も打ち切られ、故郷からの送金も
途絶えたそうです。その後、朝鮮戦争が勃発して
故郷の家族と離れ離れになってしまった。
父親は不遇の人でした。

Sさんは全ての先祖と父方の縁者をまとめるのに12年の歳月を
費やしました。


Sさんは2000年、50歳の頃から霊的な次元を生きるようになりました。
あるとき、滝の夢を繰り返し見るように。
母親に問いただすと、幼い頃に
「この子はこのまま社会にいては育つことなく命をなくす」と言われ
とある霊山の滝の行場に祀られた不動尊に
「お不動様の子供」として授けられた経緯がありました。
今も、その滝の行場にお世話になっているそうです。

恒星のパランをチェックすると
アキュメンとファシーズがヘリアカラルライジングし、
傷つけられやすかったこと、ハードな精神修養に関連しやすいことを
意味し、ヘリアカラルセッティングではカストールがパランになっています。
カストールは蟹座20度の度数域にあり、少し離れた蟹座23度付近に
ポルックスがあります。カストールとポルックスは双子座の恒星です。
神秘学やオカルトを好むと言われ、カストールは旅行を愛します。
ポルックスは火星の働きを持つとされ、勇敢な性質を持つ反面、
暴力や事故にも関連すると考えられています。
松村先生は「トランシット占星術」でツインの発想、裏と表の二面性の活用
に関係があると述べられています。
ブレディによるとカスト-ルとポルックスの葛藤でもがいている状態は
多くの作家を育成するのだとか。
Sさんもこれからは自分自身の言葉で、同じ苦しみを持つ方への処方箋を
書くべきなのかもしれません。

「自分とは何者であるか」という思いは消えなくても、
「このように生まれた私の意味も深く受け止め、すべて意味のあることと思っている」。
今ではこの境地に到達されています。

「愛されること」(2h)
「賞賛されること」(5h)
「必要とされること」(8h)
「尊重されること」(11h)

自己価値の形成に関わるサクシーデントハウスの領域は
全て、人が自分に与えてくれるもの。
そして最初にそれを与えてくれる人は両親です。

しかし、もし本当の自分から離れすぎていたら
そのうちに苦しくなってくるでしょう。

偽りのない自分でいること、
そんな単純でささやかなことこそが
いちばんの幸せなのかもしれません。

「自分はからっぽ」
「自分はいないのと一緒」
そんな透明人間のような個性も
大切に思ってほしい。

Sさんのように社会制度に阻害されている人、
頑迷な古い価値観に苦しめられている人も
想像以上に存在するでしょう。

今の若い世代の人たちによって
少しずつ、今までとは違う尺度で
幸福や生き方を考える時代が訪れようとしています。
いろいろな価値観、さまざまな多様性の中で
生きる意味を選ぶ社会に
これから変化していくように思います。

世界のすみっこにいても、独特な活動や自分なりの能力で
世の中に参加していくことがどんどん可能になる。

だから、本来の光を放ちましょう。
「私は、ここにいる」と。































金星-海王星について [ネイタルアスペクト]

今日の14時14分が春分ですね。

金星-海王星について書いてみたいと思います。

金星-海王星と金星-土星と比較してみた場合、
金星-土星は愛情や豊かさを与えられていないと感じ、渇望感、飢餓感が出てきます。
長い間満たされてないので、欲求がどんどんグレードアップしていきます。
「ここまで待ったのだから」と理由で金星のテーマにおいて妥協ができません。
しかし満たされてしまうと今度は失うことに恐怖します。
飢えた子供がパンを与えられても、
再び飢えることを怖れて一気に食べられないのと同じです。
恋愛や対人関係で特定の失敗パターンを繰り返すことがあります。

金星-海王星を持つ人は金星の象意において
与えられたり与えられなかったりした人たちです。
叩いたりつねったりしたその手で抱きしめられる。
優しく撫でられたその手で突き飛ばされる。
信じることと裏切られること、期待と失望を繰り返します。
それ故にどんなときも変わらない愛に対して信仰に似た気持ちを抱きます。

繊細で感傷的。同情から恋愛が始まることもあります。
しかし百年の恋も冷めるといった経験をしやすいのも金星-海王星。
相手に別の恋人がいたり隠れた借金があるなど
一気に現実に引き戻される体験をしやすいのです。
あるいは友人だと信じていた人との絆が
何かをきっかけに雲散霧消してしまう。
いじめのターゲットにされるなど、こちらに何かが起きた場合、
友達だと信じていた人がよそよそしい態度をとったり
見放したりといったことを経験しがちです。
金星-海王星の人は自分に力がある、ないに関わらず相手を助けたいと思います。
優しい人柄であることが多いです。
自分の限界を省みず、人に対して多大に尽くす面があります。
たとえば溺れた子供を発見し、泳げないにも関わらず飛び込んでしまい、
自分も一緒に溺れてしまう人。
その気持ちはとても美しいですが、
泳げないのなら引っ込んでろといわれてしまう。
人に迷惑をかけがちです。

秘密の恋愛に縁が出来やすいという傾向もあります。
男性の場合は水商売の女性、同情的な境遇の女性、精神が不安定な女性、
薄幸そうな女性に愛情を感じます。
女性の場合は恋愛に対して空想ロマンを持ちます。
前世からの赤い糸やソウルメイトを信じ、
たとえ不倫の恋愛であっても神聖化します。
芸能人など、手の届かない人を好きになる傾向も。
男女ともに貞操、もしくは金銭感覚に関してルーズな傾向が本人にあるか、
身近な人がその傾向を持っていて傷つく体験をしがちです。

金星-海王星を持つ人は夢見がちでロマンティスト。
博愛精神も強いです。弱さ、儚さに共感します。
誰かを癒したり、慰めたい。
奉仕の精神を持っている人も多いです。
しかし繊細で他者との境界が曖昧なため、
自分の意思が不在になったり弱くなることも。
感情表現はセンシティブで他人が理解しにくく、
賛同を得られなかったり、ときには批判される傾向があります。
また自分を犠牲にしてギリギリの努力をしているとしても、その行為は軽視されがちです。
そして無理を言われやすい。
上手くNOが言えず、周りの人たちに搾取されているように感じることもあります。
報酬を得られなかったり、損をすることに関して、あまりこだわらないけれど
精一杯の働きや心遣いに対しての理解や感謝がないと
金星-海王星の人はとても落ち込んでしまいます。

芸術家としては合やハードアスペクトの方が突出した才能として現れます。
音楽、絵画、芸事全般、香り、料理、ダンスなど金星の表現手段として
海王星のパワーを使えるのなら、否定的な影響はかなり軽減されるでしょう。
問題はそのようなパワーのはけ口がない場合です。

今回のサンプルは金星-海王星がネガティブに出てしまったケースです。
tm1.gif
私の友人の弟です。とても家族思いであり、子供や動物にも優しい人だそうです。
ちょっとしたことでも傷ついてしまう線の細さを持ち合わていたとか。
悪い友人との付き合いから覚せい剤に手を染めました。
少年院、刑務所を何度も出たり入ったりしています。
刑務所から届いた手紙には
「ずっとここに居たい。もう悪いことはしたくない。真っ当に生きていきたい」と
あったそうです。しかし出所後、姉の名義でお金を借りていなくなりました。
ヤミ金でトサン(10日で3割の利子)という超高金利の借金をしたのです。
15年ほど昔の話です。そのような借金を背負わされた女の子がどういう運命をたどったか
あえてここには書きません。
出生時間が不明なのでソーラーで出しています。
彼は天秤座に水星金星冥王星火星の合を持ち、土星、海王星とともに
小トラインを形成。月の度数は特定できませんがカイトを形成する可能性。
常識の枠をはるかに超えた極限体験をしやすい配置です。
小トラインの縛りは強いのです。
彼は中毒症状に耐え切れなかったのかもしれません。
心優しい人が弱さのため、愛する人を地獄に突き落とします。
自分の痛みは辛抱できないけれど、他人の痛みはできれば想像したくない。
他者との感応力が強い金星-海王星の人が他人の痛みに同調すると
心が壊れてしまうかもしれません。
だからこそ他人の痛みは夢や幻想に包んでしまう、麻痺させる部分があるといえます。
海王星は人との境界をなくすので、
他人に尻拭いをさせる、させられるという現れ方は多いです。

二つ目のサンプルです。
md.gif
チャートの男性は金星-海王星・ヘッド・木星-冥王星-水星のレクタングルを持ちます。
N太陽はN土星との120度を持ち、
本来は真面目で常識的な人生観を持っている人です。
けれどもレクタングルという配置は
強力で止むことのない衝動と膨大なエネルギーを生み出します。

この男性は給料のほとんどをギャンブルやキャバクラなど風俗に使ってしまい、
妻の名義で内緒の借金をしたこともあるそうです。
お金や愛情に対する幻想、混乱、失望は金星-海王星の象意です。
レクタングルを形成する水星-海王星の180度の配置は
彼が嘘をつく人であることを示しています。
水星-海王星の人のつく嘘はすごくて、
どこまでが嘘でどこまでが本当かわからないことが多いです。
おそらく話している本人も現実と虚構の区別がついてないと思えます。
なので、この配置はイマジネーションを言葉にする突出した才能を現すし、
作家やクリエイターによく見られます。
直感に優れるので流行や人の気持ちを読むことが得意です。
建設的に扱うことも可能な配置ですが、ここではネガティブに出たケースを紹介します。

彼は妻が娘のために貯金していた専門学校の学費を使いこんでしまいました。
そして家族には「学費は学校に納入した」と嘘をついていました。
娘は入学できるものと疑わず、
新学期に向けて学用品を買い揃えるなど準備を進めていました。
しかし、そのような嘘はすぐにばれます。
結果的に娘は進学をあきらめて働かなければなりませんでした。

彼は納付期限内に学費を納入すれば
嘘をついたことにならないと思ったのでしょう。
ギャンブルで増やそうとしたのかもしれないし、
差し迫った返済に充ててしまったのかもしれません。
いずれにせよ何とかなるだろうと、
金策について甘い予測を立てていたのだと思います。
家族をだますつもりはなかったのでは。
娘の失望は彼にとってもつらいものでしょう。
でも信頼の回復は可能だと信じている。
彼は「やっぱり娘を進学させたいなあ」と話すのだとか。
妻は「これ以上、迷惑かけるのはよしてほしい、
自分のことだけしっかり面倒みてほしい」と話されていました。

妻は彼の「娘を進学させたい」という気持ちは、
<もし宝くじが当たったら>
<もし大金が転がり込んできたら>という
漠然とした夢から来ていて、
現実味がないことを見抜いています。

彼からすれば、この出来事で娘への愛情が否定されるのは
悲しく、納得がいかないでしょう。
彼もやはり、本当は優しい人のはずです。
どうしてこんな風になってしまったのか自分でもよくわからないでしょう。
そのつらさを慰めてくれるお酒やギャンブルとは手を切れないでしょう。
これらをしているうちは、何も考えないですみます。

金星-海王星を持っている人は同情心が強く、
「もし宝くじが当たったら(株で大儲けしたら)あの人を助けてあげたいな」
そんな風に思う人が多いのではと感じます。

マイナ-アスペクトを含めると金星-海王星のアスペクトを持つ人は多く、
たいていの人はチャートの中の金星-海王星を上手く統合し、扱えています。
サンプルさんは突出したケースを取り上げましたが、
当然、いろんなケースやドラマがあります。

このアスペクトを持つ人の経験則や、行き着いた気づきをシェアしたいと思います。
参考にしてください。

①金星は対人関係を司るので、金星-海王星のアスペクトは
 人のちょっとした言葉や態度に傷つく傾向として出る場合があります。
 なので人の輪の中に入るのが怖い人も。
 感性があまりにも違いすぎる人といることは、
 苦痛以外の何ものでもない、という経験をしがちです。
 好きな人、自然体の自分でいられる人間関係を大切にしましょう。

②金星-海王星を持つ人は他人と自分の境界があいまいなので、
 何でも自分に責任があると思い込まされがちなところがあります。
 なので許容範囲以上のことを背負いがちに。
 出来ないことにはNOという勇気を持ちましょう。
 人の期待に応えられず、結果的にアテにならない人、というレッテルを貼られます。

③金星-海王星の人は親切な人が多いです。
 しかし、<誰かのためにしてあげている>と思うことで
 感謝や見返り、評価を求める気持ちが出てきて、本人を苦しめます。
 自己満足でやっている、自分がしたくて、自分で決めてやっていると達観することで
 ずいぶんラクになるようです。優しさや愛情は注いだその人から返ってこなくても
 良いのです。めぐりめぐって他からやってきます。
 親切にしたことでバカを見たと考えるのは残念です。

④金星-海王星の人は他人の情の部分に敏感です。
 何かを決断するときに、人の情が憑依することがあります。
 買ってほしいという気持ちを強く感じて買ってしまうなど
 情や気持ちはお金とも同調するものです。
 人の期待や情に支配されるのではなく、
 自分で考え、決める力、決めたことを遂行する意志の力を
 呼び覚ましましょう。

⑤ギャンブル、薬、恋愛、お酒、占い、買い物などあらゆる依存に注意が必要。
 海王星は霊感を司るので占い師にこの配置は多いですが
 共依存の関係に陥ること、お金に関する不透明さに注意が必要です。
 

⑥何かをしてあげたいというのは思い上がりである場合もあります。
 善意の気持ちから行うことでも、ある程度の常識は必要です。 

金星-海王星の人は計算高く立ち回るということが
とても苦手です。なので損をしやすい性質であることは否めません。
でも、金星-海王星の人には人をホロリとさせる優しさがあるし、
思いがけない善意に恵まれることもあります。
人生が美しく輝くのは、そういった1コマがあるからこそです。
海王星のアスペクトが豊富な人に芸術家が多いのは、
現実を生き抜くために夢や憧れが必要なことを
身を持って知っているためかもしれません。

 











アルコール依存症のチャートについて [ネイタルアスペクト]

アルコール依存症について書いてみたいと思います。

アルコール依存症は海王星疾患です。
今日はその中でも土星ー海王星について取り上げます。
世代アスペクトですが、太陽、月、金星、水星など
パーソナルな天体との関与で特徴が現れます。
もちろん、すべてのアルコール依存症の人がこのコンビを持つわけではないですが、
サンプルは枚挙にいとまがないほどです。
「今夜、すべてのバーで」の中島らも氏
nakajimaramo.gif
アルコール依存症、薬物中毒の作家 太宰治氏
dazaiosamu.gif
筋萎縮性側索硬化症を病み、大酒飲みだった映画監督、川島雄三氏
kawasima-yuzo.gif
海外の有名人ではエリック・クラプトン90度、ジュディ・ガーラント45度、ビリー・ジョエル45度など


占星術的には、お酒だけを問題視するわけには行きません。
アルコール依存症は疎外感からくる疾患です。
孤独は平気。一人でも楽しい。
けれども、他人の冷たいまなざしが平気な人はそうはいないです。

場の空気に馴染めない。
居場所がない。
見過ごされていると感じる。
自分は必要とされていない人間なのだと感じる。
愛される価値のない人間なのだと感じる
周囲のことに関心が持てない。
自分が透明人間のように感じる。
でも、どこかに自分にふさわしい居場所があるのでは、と夢見る。
そんな自分を子どもっぽい、未成熟であると感じる

土星-海王星の影響が強い人は
異口同音にこう言います。
「ここは本当に、私の居場所なんでしょうか?」
「それともここではない、どこかなのでしょうか?」
「探し続ければ、いつかは、見つかるのでしょうか?」
「ここを抜け出せるのでしょうか?」

疎外感、自分の居場所がないと感じることはつらいことです。
その痛みを忘れるためにお酒を飲む人はやがて病んでいきます。
偉大な作家や芸術家にアルコール依存症を患う人が多いのは
その才能、感性ゆえに一般的な感覚や常識から浮いてしまうのでしょう。
お酒は感情を開放してくれます。
海王星が月や水星、金星と組むと、その人は繊細な感受性を持つことになります。
お酒に耽溺する人は同時に恋愛、文学、芸術に耽溺する人でもあります。

海王星は壁を壊し、<すべてはつながっている>ことを思い出させる天体です。
ほんの少しのアルコールで自制のガードが緩みます。
お酒によって開放される感情が疎外感という苦しいものである場合、
その人は周囲を混乱させ、傷つけます。
他者と自分の境界がなくなるので、
自分を痛めつけている人は相手を痛めつけます。
自分がいじめられていたら、自分より弱い存在をいじめてよいと思います。

<すべてはつながっている>のです。
自分を愛することが大切なのは、世界とつながっているからなのです。

土星にとって海王星という相手は汚染や混乱以外の何者でもないので
お酒や薬よるトラブルやスキャンダルで土星(経歴)は傷つきます。

アルコールや薬物だけでなく、インフルエンザなどウィルスも
海王星の守備範囲です。
友人の占星術師、登石先生も小さなお子さんがいるのですが、
「子どもの感染症はママと一緒にいたい気持ちの表れ。
だからあきらめて付き合おう」と
話してくれたことがあります。
たしかに感染症では幼稚園や保育園に通えません。
小さい子どもは母親に甘えたいときに感染症の病気になる。
病気で苦しいのは嫌だけれど、お母さんと一緒にいたい。
けれども母親は仕事(土星)を優先せざるを得なくて
病児保育室に預けるということもあります。
苦しんでいてもそばにいてもらえなかったり、
怪我をしても手当てしてもらえないようなことが
度重なると、大切にされることを渇望しながらも、あきらめるでしょう。

アルコール依存症は当人だけの問題ではありません。
<すべてはつながっている>からです。
親から子へ引き継がれます。
酔った親に殴られながら育つというような連鎖は
終わりにしなければなりません。

病気は、恐れや批判、疎外、無関心、が
表に出てくることで解消されようとする
浄化のプロセスである場合があります。
アルコール依存症、あるいはうつ病などもそうですが、
本人の心の弱さだと決め付け、批判することは、
癒しの可能性、問題解決への道を捨て去ることと同じです。

しかし現実的に立ち直るには、土星の力が必要です。
土星の力とは、<制限・分離すること>です。
相手の痛みや苦しみを受けすぎると、溺れてしまうことになります。
苦しんでいる本人同様、周囲の人にとっても救いがなくなります。
相手の苦しみを理解しつつ、それは自分の苦しみではないと認識すること、
すべてはつながっているが、同時に自立した存在であることを
忘れないようにします。この認識があってこそ、サポートが可能になります。

お酒は、本来、素晴らしいものです。
楽しい気分になれ、他人と打ち解けやすくなります。
リラックスさせてくれます。
芸術家にお酒を愛する人が多いのは
意識が解き放たれ、インスピレーションを受け取りやすく
なるからでしょう。
しかしお酒はあくまで手段なんです。
手段にのっとられてはいけません。

でもそれが難しいのが人というものなのかもしれませんね。

<制限・分離>という現実的な土星の世界と
<すべてはつながっている>という
海王星の霊的世界を両立させることは
生易しいことではないです。
境界でそれ相応の犠牲を払うことが多いからです。
現実をしっかり見据えて生きること
夢の世界を生きること、
そのどちらにも葛藤があり、
断念や自己放棄を幾度となく繰り返します。

土星-海王星の人が持つ居場所のなさ、
喪失感が癒される日がくるのかは、わからないです。
その孤独や淋しさは
自分らしさそのもので
実は手放したくないものなのかもしれません。

土星-海王星90度を持つ浜崎あゆみは
自らの心の傷を作詞し、歌っています。
同じ時代を生きる一人、一人の
心の傷と共振したから、
これほどまでに支持されているのでしょう。


自殺した人、自殺した人を身内に持つ人に
土星-海王星が太陽、月と関わる配置を
散見します。
アルコール依存症と自殺は占星術的に
どちらも土星-海王星です。
お酒や薬の力を借りることで、
あちらの世界へ行くことがずっと容易くなります。

土星-海王星は<暗殺>も意味します。
孤独と疎外感、社会的抑圧の中で
ひっそりと死んでいく無数の人たちは
もはや自殺ではなく、黙殺された人たち、
暗殺された人たちともとれます。

子どもの頃、毎日のように酔った父親に折檻され、
学校でもいじめに遭っていて
家にも学校にも、どこにも行くところがないと感じていた人は、
「そうだ、死ねばいいんだ」
そう閃いた瞬間、目の前の景色が突然、輝きだしたそうです。
本当にすべてのものがキラキラ光り輝いて見えたのだとか。
結局、死ねなかったそうですが、
その輝いた世界は息を呑むほど
美しかったそうです。

死を怖れたり、忌み嫌うのは土星からの視点です。
土星の視点は<分離・制限>。
海王星がマレフィックであるという解釈は
土星の立場から見て、やっかいだということです。
海王星の視点は<すべてはつながっている>です。

理想はどちらの視点も獲得することでしょうか。

ミヒャエル・エンデ作の「はてしない物語」という本があります。
物語の世界に入ってしまう少年のお話なのですが、
装丁が素晴らしく、物語の中に出てくる本と同じ荘厳さを持っています。
大きく、分厚く、二色刷りで、赤く輝くクロスが張ってあります。
子どもが読めるようになったら、私が薦めるのではなく
自分で見つけ出して手にとってもらいたい本です。
私自身も薄暗い学校の図書室で引き寄せられたように
手に取りました。

占星術的に解釈すると現実世界(土星)に居場所がなかった主人公が
本を入り口にしてファンタージエン(海王星)の世界に入り込んで冒険し、
現実世界(土星)に戻ってくるお話です。
癒しと再生を経て成長し、こちら側に戻ってきます。

「絶対にファンタージエンにいけない人間もいる。
いけるけれども、そのまま向こうにいきっきりになってしまう
人間もいる。それから、ファンタージエンにいって、またもどってくるものも
いくらかいるんだな、きみのようにね。そして、そういう人たちが、
両方の世界を健やかにするんだ。」

「ファンタージエンへの入り口はいくらでもあるんだよ、きみ。
そういう魔法の本は、もっともっとある。
それに気がつかない人が多いんだ。
つまり、そういう本を手にして読む人しだいなんだ。」

「ファンタージエンにいってもどってくるのは、本だけじゃなくて、
もっとほかのことでもできるんだ。
きみも、やがて気がつくだろうがね。」

土星-海王星は
生きづらさを感じさせる配置です。
もともと土星の枠組みからはずれがちな分、
別の世界に居場所を見出す人であるといえます。

行って、そして戻ってきてください。
入り口は、お酒だけではありません。






はてしない物語

はてしない物語

  • 作者: ミヒャエル・エンデ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1982/06/07
  • メディア: 単行本



バイキンタイルについて [ネイタルアスペクト]

今日は、バイキンタイル<Biquintile>について。
バイキンタイルは144度。
キンタイル<Quintile>を2倍にしたアスペクトです。
キンタイルは360度の円を5分割した度数、72度のアスペクトです。

5の象意から、創造欲求、遊び、アイデア、芸術的な才能に関係すると
言われています。144度は72度に2をかけた度数なので
上記の事柄が内面に向きます。
なのでバイキンタイルはキンタイルほど表には出てきません。
隠れた、内向きの衝動だからです。

習字を例にして、このアスペクトの説明をしたいと思います。

長女は小学三年生で習字の授業が始まりました。
先日、保育園時代の友人で別の小学校に進んだ子の母親が
習字の授業について話してくれました。

「今はね、墨をすらないんだって。時間がもったいないから
墨汁なんだって。私たちの頃は墨をすらされたよね。
精神統一とか、そういう意味もあったんじゃないかな」。

へー、今はそうなのだ、と思い
長女に聞いてみました。

「こっちでもそうだよ。墨をすらされたのは最初の授業だけで
あとは墨汁だよ。墨をすってる時間があれば一枚でも多く
書いたほうがいいからって先生が言ってた」。

なるほど。なぜか大昔に読んだ本のことが思い出されました。
「日本瞥見記」 小泉八雲著 です。
小泉八雲が友人(日本人)と子供の書道展を観に行ったときの
エピソードが描かれているのです。

「この書はのびのびしてて好感が持てる」
「こちらの書はユニークで良いなあ」などと
八雲がコメントすると、同行の日本人男性は
「そんな書は下手くそだ、ごらんなさい、
こちらの子の書の方が良いでしょう」と
ことごとく否定するのです。

全くもってようわからん、何それ、どういう基準なわけ?
理解不能である・・・というような
内容でした。うろ覚えですが。
外国の人らしい感想です。
日本人なら子供の習字の上手い下手、お習字を習っている子は
大体わかると思います。
決まりきった見方が出来上がっていているのかもしれません。

習字として表現したいものがキンタイル、
心を落ち着かせて墨をする、正しい姿勢、お手本を写すこと、丁寧であること、など
心構えや内面の状態はバイキンタイルが表します。
内面を磨き、キンタイルの創意工夫をより洗練・成長させるものがバイキンタイルです。
そしてキンタイルとバイキンタイルはHN5の流れで合になるので、
これらは表裏一体の性質を持ちます。
習字だけではなく、全ての物事の上達に共通するはずです。

i.gif
キンタイルのミッドポイントの度数は
外への押し出し&落としこみでアイデアを
具現化させていく能力を指すアスペクト、デシルであり、
内面を磨くという地道なプロセスを指すバイキンタイル144度とは
オポジションの関係であることが興味深いです。

私自身はオーブが0.04という極めてタイトな土星-冥王星のバイキンタイルを
持ちます。ハーモニクスでは一生オーブが崩れることはありません。

HN10図です。
c.gif
出生図の土星-冥王星のバイキンタイルは、
HN10で山羊座5ハウスで合になっています。

いかにも、という出方ですが、
10歳からお茶のお稽古を始め、結婚して実家を離れるまで
約18年間、お稽古に通いました。
母に通うように薦められたのがきっかけです。
全然、興味がなかったけれど
和菓子が食べられるし、友達もいるから通いました。
でもずっと嫌でした。空想、妄想ばかりしている子供だったので
ちっとも上達しませんでした。

15歳くらいから茶の湯は精神修養、禅と関わりが深いということが
理解できてきて、少しだけ楽しくなりましたが
社会人のときがいちばんつらかったです。
夜の9時半ごろ「まだ会社です」って電話しているのに、
「待ってるからいらっしゃい」という先生だったので。

疲れてクタクタだったり、あるいは心配や悩みがあるなど
雑念にまみれていると、それが確実にお点前に出てしまいます。
そうするともう一回、やり直しをさせられてしまう。
面倒くさいなあ、どころではなく、超だるい!憂鬱だなあと
ずっと感じていました。

結婚したとき、「もうお稽古に行かなくて良いんだ」と嬉しかったです。
そんなに嫌なら、なんで辞めなかったの?ということですが
なんででしょう。単に辞め辛かっただけだと思います。
けれど大切な時間と空間を失ったことに
すぐに気づきました。
忙しい毎日の中、無心にお点前することによって
しばしの間、煩雑な日常の意識から離れていられたのです。

茶室は、湯の沸く音、お香、いけばな、掛け軸、作法などで
日常とは聖別された空間を作り出します。
日々の暮らしの中で
そういう時間と空間を持つことは非常に難しいです。

山羊座の土星-冥王星が5ハウスで合、というのは
私にとっては茶道として現れました。
お茶の先生にはなりませんでしたが、
心を整える鍛錬は占星術に生かされているように感じます。

<稽古とは、一より習い十を知り、十よりかえる、もとのその一>とは
利休百首のうちの一首ですが、再新再生、上向きの循環の大切さを歌にしています。
この歌は、バイキンタイル的です。芸を磨く、鍛錬を積むことにおいて、
これで終わりということはありません。

茶道だけではなく全ての分野に当てはまるのだと思います。
むろん占星術の学習についてもそうで、
何度でも基本に立ち返って勉強する必要が生じます。

土星-冥王星というヘビーなコンビを取り上げたので、
なんだか重苦しい話になってしまいましたが、
これが金星-火星とかだともう少しライトな感覚で、
魅力をアピールすることにおいて日々精進、という風に
現れるかもしれません。

絵や音楽、ダンス、武道を長年続けられている方、
神話的、抽象的なイメージを表現しようとしている方に
このアスペクトを多く見かける印象を持っています。

チャートの中のバイキンタイルがあれば、光を当ててみてください。
おそらく自分の創造性を磨く活動は何かを指し示しているはずです。



















不安神経症のチャート②双子座について [ネイタルアスペクト]

前回は双子座20度付近の天体を持つ人について
思考活動が行き過ぎて身体が悲鳴をあげるとき、
神経症を発症しやすい、というお話を記事にしました。
明石家さんまさんが双子座20度付近に水星・金星の合を持ちます。
この度数のテンションの高さ、行き過ぎた感が
イメージしやすいと思います。
さんまさんは神経症ではないですが、
もともと眠りが少なく、クスリがないと眠れないのだとか。

今回は双子座全体について書きたいと思います。
双子座に天体や感受点がなくても
ホロスコープでは双子座が支配する場所を誰もが持つので
自分自身の双子座要素について理解を深めてもらえたらと思います。

流智明氏の「占星学教本」に12サインのメンタリティーの核が
紹介されているので、引用しますね。

牡羊座 I am(私は存在する)
牡牛座 I have(私は所有する)
双子座 I choice(私は選ぶ)
蟹座  I sense (私は感じる)
獅子座 I will (私はする)
乙女座 I analyze(私は分析する)
天秤座 I balance(私は量る)
蠍座  I desire (私は探究する)
射手座 I experiment(私は試す)
山羊座 I use (私は使う)
水瓶座 I solve (私は解く)
魚座  I believe (私は信じる)

双子座のメンタリティーの核は
I choice (私は選ぶ)。
つまり判断し行動を選択するために
知識や情報を吸収しようするサインなのです。
双子座にMCや天体を多く持つ人、
3ハウスが強調されている人は知識や情報を
伝える活動に向かっていきます。

サンプルとして椎名誠氏のチャート
mc.jpg
いつも世界中を元気に旅をし、
永遠の少年といったイメージのシーナさん。
活動の幅広さ、著作の多さから見ても
ワーカホリック気味のようです。
本好きでもあり、<活字中毒者>なのだとか。

双子座に5つの天体は過剰。
出生時間がわからないので
正午で出すと、月は魚座30度。
けれど牡羊座の月という印象も受けます。
もし牡羊座の月なら、地は0、水も0という
非常にエレメンツの偏ったチャートになります。

快活で冒険好きで、いつまでも若々しい人であるという
イメージを持っていたのですが、
エッセイ「かえっていく場所」では
神経を痛めてしまっている彼の状況が描かれています。


まさに双子座的な壊れ方。
感情や身体は疲弊しているのに
思考は暴走し続け、安らぐことがない。
双子座の知性は蟹座に捕まるそのときまで
落ち着くことはできないのです。

藤原新也氏のチャート
sf.jpg
椎名誠氏と誕生日が近いです。
双子座に天体が3つ。
火星と土星の合を持つため、
情報、伝達といった双子座の分野に対して、厳しさを持つ人です。
地のエレメンツは0。

椎名誠氏も藤原新也氏も世界中を旅する写真家、作家、エッセイストです。
獅子座の7度付近に冥王星があるためか、
社会の規格にはまりたがらない世代です。
影響を受けた日本の若者は多いのではないでしょうか。

何でも見てやろうとする好奇心。
そういえば日本のバックパッカーの先駆けと言われている
小田実氏も双子座12度に太陽を持ちますね。

藤原新也氏は魚座の14度に太陽を持ちます。
この付近には不屈の精神を与える
エリダヌス座の恒星ACHERNAR(アケルナル)も
輝いています。
ここに天体を持つ人は業界の裏事情に通じるなど
処世術に長けた頭の良い人が多いです。

自分の弱さを自覚しているため
優位に立とうと、誰よりも頭脳を駆使します。
運命に翻弄されても
ときにはずる賢く知恵を働かせ、生き延びます。
なので、少しあざとさを感じさせる人もいます。
直居先生の「定本サビアン占星学」では
「自分の知恵をほかの人のために提供するところがあり、
かわりに考えてあげる役割なのかもしれない」
と述べられています。

魚座の水星と双子座の天王星のスクエアを持つ
藤原新也氏は耳障りの悪いことも敢えて語る作家なので
好き嫌いの分かれる方だと思います。
私はかなり好きで、先月は池袋コミュニティカレッジでの
講演会も聴きに行きました。

彼自身は神経を病んではいませんが、
現実を目の当たりし鬱になる人を見てきている人です。

「人は情報で病む」と
はっきりおっしゃっていました。

双子座に天王星、土星、火星を持つ彼は
まさに「双子座の鉄人」といって良いと思うので
講演会で彼が語っていた内容をシェアしたいと思います。

■人は情報で病むが、情報と現状の落差があると不安に苛まれるので
 それらがリンクすると落ち着く。
 (彼は震災一週間後に被災地入りし、あまりに凄惨な光景で
  ショックを受けたが実際にこの目で確かめたことで 
 ホッとした心持ちになったともおっしゃっていました)

■いろんな情報が流れるが、情報の食い散らかしはやめる。不安になるだけ。
 山とある情報のなかで正しい情報を掴むには裏をとること。情報と情報をつき合わせ、
 根気よく精査すること。風評を防ぐことにもつながる。

■自分が病気になったとき、それは自分だけの問題ではない。
 必ず他人に転化する。苦しみは必ず誰かと分かち合うことになる。
 なので、自分のためではなく他者のために自分を守る。そのために情報を生かす。
 心身に負荷がかかったとき、どうやって吐き出すか。
 起きてしまった事実を認め、 今後の生き方を真剣に考える。

■日常のセオリーをはずす。違うものの見方をする。

今はいろんな情報が溢れかえっているがゆえに
双子座のI choice(私は、選ぶ)が出来ていない人が多いです。
何を信じ、選択すれば良いかわからなくなり、
判断不能に陥るのです。

これは整体の先生が言っていたことですが

「耳に入れるとホント落ち込んでしまうこともありますが、
 自分や家族のために知っておいた方が良い情報もあります。
 でもあんまり頭で考えすぎないほうがいいですね。
 自分のためになる情報は、身体が知っています。
 スッと腑に落ちるんですよ。」

自分の身体がどう感じるか、直観はどうなのか。
感覚を研ぎ澄ませることでわかることもあるのでは、と感じました。

知ったところでどうしようもない情報もあります。
それでいて、知らなかった頃には戻れません。
知ることで傷つくことは、往々にしてあるものです。
愛するがゆえの嘘や隠しごとも、存在します。
知ることには覚悟が必要な場合があります。

双子座は個人の知性をギリギリまで伸ばそうとします。
知ろう、見てやろう、そして自分こそはどう思考し、どう判断するか。
知ること、思考することを諦めたり放棄したりはしないのです。

子どもには「なんで?なんで?」とうるさいほどに質問してくる時期がありますが、
ホロスコープには双子座が支配する場所、水星のいる場所、3ハウスがありますね。
そこは知的好奇心が働く場所です。学習の場所です。

知りたいことがあれば、安易に人に聞いてすませたりしないで、
どんどん調べていってほしいと思います。
そうすればいろんなことがつながってきて、
ますます面白くなります。
さまざまなことを人は学習します。
それをただの知識で終わらさず、生きた知恵として活かしていけるかどうか。
伝えていけるかどうか。
6月22日に夏至を迎えるまでT太陽は双子座にいますから、
この双子座月間にあれこれ試行錯誤してみたいと思っています。














月-キロンについて [ネイタルアスペクト]

今日はキロンについて

キロンは1977年に発見された小惑星です。
1978年にイギリスで成功した体外受精とも関連づけられています。
2010年のノーベル医学生理学賞は、体外受精の産みの親である
ロバート・エドワーズ博士に授与されたことは記憶に新しいです。
倫理的な問題、宗教観から体外受精の技術はローマ法王庁から
厳しく批判され続けました。
エドワーズ博士は85歳という高齢のため、今回の受賞を
認識できない状態なのだそうです。あまりにも遅すぎたといえます。

占星術においてキロンは傷と癒し、占星術、精神世界、高度医療といった
意味を与えられています。
高度生殖医療は常に批判、偏見にさらされながら発展している分野で、
それも傷を司るキロン的であるといえるでしょう。
キロンが土星(常識)と天王星(ニューサイエンス)の間にあることも
関係していると感じます。

当時は「試験官ベビー」という言葉で
批判されながらも現在までに世界中でおよそ400万人が
この技術のおかげでこの世に生を受けました。
日本でも65人に1人の赤ちゃんが体外受精で誕生しています。
今の50代~20代の人はホロスコープにキロンと天王星の180度を
持っていることに関連しているのではと感じています。
(占星学も常にインチキの謗りや批判にさらされている学問といえます。
石川源晃先生の著書では「キロンは科学的な占星学を表示する天体と考えられている」
と述べられています)

高度生殖医療を試みるカップルのどちらかのチャート、あるいはコンポジットチャートに
このキロンと天王星の180度が5ハウスー11ハウスで形成されている、
あるいは子午線上で形成され、同時に月、金星といった妊娠に関わる天体や
5ハウスの支配星と関わっているというケースを見ることがあります。
高度生殖医療の発展によって子どもを授かることが出来た夫婦も大幅に増えたけれど、
不妊症の人もものすごく増えた感じがあります。
晩婚傾向にあることも、もちろん原因のひとつでしょうが、
決してそれだけではないような気もします。

最近、月とキロンのアスペクトを持つ方が続きました。4人くらい。
みなさん、いちように「動物や小さな子どもの気持ちがわかる」と
言われるのです。実際、保育士など幼児に関わる仕事の人が多いような。
(アルプス形のサンプルで取り上げさせていただいた
動物写真家の星野道夫氏や画家の稲見優卯子さんも月-キロンのコンビを
持っていました)
ある方は「虫の気持ちもわかる!」と仰ったのでおおいにウケました。ナウシカですか。
それで、私の夫もキロンと月の180度を持ちます。
今回はサンプルとして、夫のことを取り上げたいと思います。

「小さい子や動物の気持ちがわかる?」と訊いたところ
「そんなものは、一方的な思い込みに過ぎん!」とバッサリ。
夫は水星-火星のタイトなスクエアを持つせいか、
シニカルなことを言います。
私が見る限りでは、彼は<子どもが好き>というより
<大人が苦手>なのですね。何かの行事や集まりのときは
大人と話すのを避け、子どもたちの相手ばかりしています。

いくつか月-キロンを思わせるエピソードをあげます。

①秋が深まった時期に季節はずれの蚊を見ることがありますね。
「こういうの<哀れ蚊>ちゅうんよ」などといって見逃す。

②初秋のある日、隣家の庭の草刈りをしていた業者の方から、
「お宅のエアコンの室外機のホースにアシナガバチが巣を作ってますよ」
と教えてもらいました。
「アシナガバチは巣を攻撃しなければ人は襲わない。
それにあと1~2週間もすればハチはいなくなるから」と
夫は駆除を頑なに拒否。
隣近所に申し訳ないけれど駆除はしませんので気をつけてください、と
お願いしましたが、洗濯物に紛れ込むこともあるし、刺された場合のアナフィラキーショックも怖いし
心配でした。こういった判断を非常識だと批判する向きもあるでしょう。
ただ本当に急に秋が深まり10日もしない間にハチはいなくなりました。
翌年、ハチはその場所に巣を作りませんでした。

③カタツムリを飼っているのですが、死んでしまった個体を、
「しばらく手元に置いておく。供養したいから」と
箱に入れて仕事部屋に持っていってしまう。そういう感性の持ち主なので
お隣のママの「飼っているザリガニが死んだら、子供がキッチンのゴミ箱に
そのまま捨てる、臭くてたまらない、スーパーの袋を二重にして捨ててと何度もいっているのに」
という話に、「なぜ埋めてやらんのだ」と驚く。

一緒に暮らしているので、そんな話は枚挙にいとまがありません。
ただ<優しい>とか<哀れみ深い>という感覚とは違うようです。
<もののあはれ>という日本人特有の自然観には近い気はしますが。
日本人は古来よりアニミズム思想を持っていたので(失いつつあるけれど)
月-キロンは日本人にとってはアニミズム的な感覚を指すのかもしれません。
外国人はまた少し違うのかも。

テキストには月-キロンのセットは幼児期の心の傷、コンプレックスとあります。
子供の頃は誰でも、自然や環境と一体であったと思います。
たとえば大事にしていたおもちゃやぬいぐるみ、あるいはペットを
親に処分される、こういったことの心の傷も月-キロンの管轄であると感じます。
自分のたましいが入って一部となっているものを切り離される痛み。
小さな動物や虫に、同調する。
自分が蚊でありハチである感覚。猫であり犬である感覚。
こういう感覚を持っていると今は生き難い時代であると思います。
自然に同調しない人も、また増えてきているからです。

世代アスペクトで私たちの多くがキロン-天王星を持つと述べましたが
自然とのつながりによって病む部分が出てくる世代なのでは。
不妊で悩む人が増えていることは、
生態系全体でも繁殖ができない生物が増えているということ。
昔の人は、うさぎの多産、犬の安産にあやかるなど
動物から呪術的なパワーをもらっていました。
そういったことも形骸化しています。
ペットとして飼うためには去勢・避妊手術をすることが一般的で
またそうしなければ生まれてくる命に責任は持てません。
いろんなことが、つながっています。

キロンの象意は傷と癒し。ヒーリングは一体感、同調の意識レベルで起きます。
月-キロンはシャーマンの感性に近く、大きな可能性を秘めているように思えます。

ある人は捨てられた子猫に幼児期の自分を発見するかもしれません。
ある人は植物と心を通じ合わせるでしょう。
このコンビを持つ人がどういう方法でエネルギーを使っていくのか
すごく興味があります。












月を含むYODについて [ネイタルアスペクト]

YODは月やASC/MCを含むと形成されやすいです。
月を含むYODについて、今日は書いてみたいと思います。

月は幼少時を司る天体ですが、月のYODを持つ子どもは
どこか無理をして子どもらしい子どもを演じているような
印象を受けます。
親は子どもに躾けをします。
それは子どもにまっとうな人間としての型をつけるためで、必要性のあることですが
月のYODを持つ子どもは、その個性がどうしても
当たり前の型にはまりきれず、苦労するようです。

生け花で枝にカーブをつける作業を<矯め>といいます。
指の腹で枝を押しながらじんわり温め、少しづつ力を加えて曲げていきます。
ボキッと折れたら失敗。
柳のように少しの力で型がつくものもあれば
桜のように火であぶらないと曲がらないものもあり、
植物によってさまざまです。
人もその人の性質によってさまざまなのだと思います。
ホロスコープでは
ボキッと折れるのがスクエア。
絶対、曲がらないものがオポジション。
そして<矯め>られるのがインコンジャクトです。
相性などでスクエアよりもインコンジャクトが
問題になったりするのは、衝突や対立のように
目立つ現れ方はしないけれど、
自分の本質を曲げて、相手に合わせるので
内面はとても苦しいからです。
インコンジャクトは訓練、妥協、調整、矯正を
意味しますが、これがYODとして二つ重なると
逃げられないでしょう。

月のYODを持つ人は幼少時にこの<逃げられない><本質を曲げられる>を
体験しているのでは、と想像しています。

実例としてよく目にするのが「食べ物」について、です。
食事は毎日、三回。
食べられない自分を受け入れてもらえない。
なだめすかされ、食べることを強要される。
もちろん食わず嫌いもありますが、どうしても飲み込めないものも、
あります。

月-太陽-火星のYODを持つ7歳の女の子がいます。
ものすごく小食で、がんばって食べさせるのだけど
吐いてしまうことが多くて、とその子のママは悩んでいました。

子どもの頃の食生活は一生の基礎になる、偏食させたくない、
何でも食べられる元気な子にしたいのに、
食が細すぎて心配、標準よりずっと痩せている、
周囲から食べさせてないと思われたら嫌、
給食が食べられなくて、居残りさせられたらかわいそうetc
何でも食べられるようにしっかり躾けなければ、と思っています。

また、その女の子は幼なじみの男の子が抱きついてくるのが
すごく嫌で悩んでいます。一度、やめてと言ったとき
その男の子がとても怒ったので、それから「やめて」が言えない。
男の子のママは子ども同士の無邪気なハグだと思っている。
女の子は体を固くして、男の子が離れてくれるまでじっと耐えています。
「なんでもっと強く、やめてが言えないのかな?」と
その子のママは首を傾げます。
いつも食事はガマンして食べなさい、なのに
お友だちには嫌だったら嫌だと言いなさい。
ケースバイケース、という機能は月にはありません。
月は一事が万事なのです。
嫌な食べ物も嫌な感情もその子にとっては拒めないもの。呑みこむもの。
インコンジャクトやYODは月にそういう型をつくるように感じます。


8ハウスの月、ASC、冥王星、海王星、ヘッド、MCのアルプス形のあるチャート。
yasuh.jpg
海王星側にヘッドがあるので海王星的なご縁が生じやすい。
霊的な感受性が強く、他人との境が曖昧な配置です。
彼女にはなぜ、多くの人が自分に愚痴や不満など重たい感情を
吐き出すのか、わからない。
なんで私が?正直、うんざりなんだけど。。。
それは彼女に「呑みこんで一体になる型」があるからなのです。
おそらく月の年齢域でそういう育てられ方をしたのでは。
母親や家族の感情を苦しくても呑みこみ、受け入れてきた。
きっぱりと拒絶する人はそういった人を寄せ付けたりしない。
彼女が<重く>なることで、相手は<軽く>なります。
占い師やセラピストといった仕事でこの配置を生かすことはできます。
職業にして、お金を頂くことがガードになる場合があります。
料金が発生することで際限なく呑みこむ、ということがなくなるからです。
子どもをカウンセラーやセラピストのように頼っている
親がいますね。その子は自立してもそういう役割で他人に求められます。

再び、稲見優卯子さんのチャート
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優卯子さんは幼児期に摂食障害があり、
果物や野菜以外のものを食べることが困難な子どもでした。
周囲と比較するとちょっと変わった子どもで
親や大人を困らせたそうです。
昔はたくさん食べる子どもが子どもらしい子どもで、
食べない、食べられないということ自体が
自分自身でも不思議に感じていたとか。
幼児期から身の回りに不思議なことが良く起きたそうです。
けれど周囲から理解されることはなく、
自分でもよくわからないことが我が身に起き、
全く自分ではコントロールできない・・・
それが月を含むYODの象意なのでは、と
自己分析されていました。

稲見さんを鑑定させていただいた数日後に
前述の月のYOD持ちの7歳の女の子が食事中に
ひどいアレルギーが出て呼吸困難になり、救急車で運ばれた、という話を聞きました。
月のYODを持つ友人が
「食べないと許してもらえなくて、あれはすごくつらかった」
と話していたこととつながり、稲見さんの摂食障害のエピソードと
リンクし、このテーマについて書こうと思い立ちました。
せっかくのご飯を食べないことは、
もちろん褒められたものではないけれど、
その子の受け付けない感覚も尊重した方が安全、
とママにはお話しました。
月のYODは食べることについて問題が出る、と断言できるほど
事例を知りません。YODがもたらす<縛り>は
人によってさまざまなのだと思います。
勉強かもしれないし、習い事かもしれない、
愚痴や不満を聞き続けることかもしれないし
嫌いな人に対して、好きなふりをすることなのかもしれない。

稲見さんに摂食障害について、ブログで取り上げても良いですかと
お願いのメールをしました。
死ぬほど苦しい思いをしている人のためになれば、と承諾してくださいました。
このブログを読まれている方は占星術をされている方だと思います。
星を通して、悩みを理解し、寄り添うことの助けになれば、と願います。
吐いてしまう女の子についても、稲見さんから親身なアドバイスを頂きました。
実際に体験した人の言葉は重いですが、だからこそ切実に響くし、
他者の傷や痛みにも敏感なことに思い至ります。

苦しみ、悲しみの過去のいっさいを肯定できるものと
出会えれば、YODは福音としての意味を持つのかも
しれません。
















アルプス形 [ネイタルアスペクト]

二つのYODが底辺を共有し、
リボンのようにつながっている
配置があります。
上辺が90度になり、台形になります。
複合アスペクトについて詳しく解説されている
波木星龍氏の「占星学秘密教本」には
<アルプス形>として紹介されています。
台形と三角形の底辺をかねる二つの天体が大きな役割を果たし、
夢やロマンを現実化しようと努力する、と説明されています。

私はこの配置に、スケールの大きさ、
当たり前の日常をはるかに超え、
遠くから何かを持ち帰ってくるような
イメージを持ちます。

写真家 星野道夫氏のチャート
michiohosino.jpg
木星、火星を底辺とし、海王星、天王星を含む
アルプス形。
星野道夫さんはアラスカに住み、アラスカの自然を撮り続けた
写真家です。カムチャッカ半島でヒグマに襲われるという
最期だったのですが、そういう亡くなりかたも含めて
神話化している人であると思います。

天才的な人はどこか逸脱したチャートをしていて
常識の枠にはまらず、地域社会からもはみ出してしまう。
冒険心と好奇心から無謀なチャレンジをする。
あるいは居場所のなさ、息苦しさ、生きづらさを感じ、放浪する。
ときに極度に貧しかったり、不幸のどん底にあったりします。
平凡な毎日を送り、平凡な感性を持ち、安穏と暮らしている人が
文章だけ天才、写真だけ天才、ということはあり得ません。
星野道夫氏の生き方そのものが、写真や文章に直結していて、
多くの人の心を感動させるのです。

アルプス形や星野道夫氏に思いを馳せていたら
イラストレーター、画家をされている稲見優卯子さんを鑑定させて頂く機会に
恵まれました。ありふれた配置ではないのに偶然にも彼女のチャートにアルプス形を
発見しました。(実は鑑定においては、こういったシンクロは珍しくありません)
稲見優卯子さんのチャート
inami.jpg
月、金星、キロンの配置は繊細で優しすぎる性質を作ります。

淡く繊細に描かれる少女をモチーフにした心象風景。
画風だけではなく、彼女自身の心もそうなのです。
もう少しだけ鈍感で、要領よく立ち回れる性格であったら、
生きることがどんなにラクか。
けれど、もし彼女がそういう人であったら、
そもそも、この画風は生まれないし、
心の中の清らかで柔らかい部分に触れるような絵は描けない。
逆に言うと、そんな彼女だからこそ描ける世界があります。

他の誰もにとって、何でもないことが
彼女にとっては苦しみを伴う。
いろんなことを抱え込み、飲み込み、
心を痛くしてしまう。
自分の居場所に自信がない。
捨てられた動物たちの悲しみや悲惨さに
自分を重ねて、放っておくことができない。

金星と月の150度を持つ人に、とても優しい人でありながら
身近な人間関係において温もりを諦めてしまっているような
印象を受けることが多いです。
彼女の描く少女が物憂げでどこか淋しそうなのは、
そのせいなのかも、しれません。

ホロスコープの中に、ある種の生き難さを見出すことがあります。
それを嘆くことより、変えようとすることより、
そういう自分を認め、許して受け入れていくことの方がはるかに大切だと感じます。
アルプス形は底辺を共有するYODを二つ持つことから
使命や人生のテーマにおいて
表現方法や手段を二つ持つような気がします。

稲見優卯子さんのHP
http://www.inamiyuko.com










アスペクト図形の実例が豊富です。


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